若奥さまと、秘密のダーリン +ep2(7/26)
「いや、ちょっと待って、そういう話なら仁にも聞いてもらったほうがいいな。このあと時間あるんでしょ?」
洸は時計を見ながら慌ただしく立ち上がった。

「ん? ああ、今日はもう社へは戻らない」
「あ、そ」

それから洸は秘書課に帰る旨を伝え、友人の氷室仁(ひむろ じん)に、「夕翔が中学生の恋愛相談みたいことを言い出したんだ。もしかしたら病気かも」などと電話をかけたり、デスクの上の書類に目を通したりと忙しく動いた。

混乱する友人を尻目に、ひとりソファーに残った夕翔は、コーヒーの飲みながら考える。

矢神が神妙な顔をして言った。

『月井さんは、どう思っているんですか? あの子との未来について。羽原弁護士にそう聞かれましたよ』

彼に言われるまでもない。
一体どうしてこうなってしまったのだろうと、夕翔自身、時々思い出しては頭を悩ませていたのである。
< 166 / 314 >

この作品をシェア

pagetop