若奥さまと、秘密のダーリン +ep2(7/26)
「出世したとか? まあでもあの人なら、作業服でもなんでも似合いそう」
夏梨がそんなことを言い、うんうんと頷きながら、向葵はまた別のことを思い出した。
手繰り寄せた糸が、次々と過去の記憶を拾ってくる。
春休みで通った会社には、彼によく似た警備員がいた。
男性社員に飲み会に誘われていたところを、助けられたことがある。
オフィスでのアルバイトをすると、スーツを着たビジネスマンに時々飲み会に誘われた。行けば歓迎会。終われば打ち上げ、送別会など。
『上のおじさん達は来ないから、楽しく飲もうよ』なんて言われたけれど、むしろ上役のおじさんが一緒のほうが安心できる。
もともと男性には警戒心が強い向葵からすれば、下心をギラギラさせる若いビジネスマンには嫌悪感しか生まれず、決して飲み会には参加はしなかった。
その日も、帰りがけのロビーでしつこく誘われて、助けてくれたのが警備員のお兄さんだった。
彼も帽子を目深に被っていたから、ウォーターサーバーのお兄さんと同じ人かどうかは確信がないが。
夏梨がそんなことを言い、うんうんと頷きながら、向葵はまた別のことを思い出した。
手繰り寄せた糸が、次々と過去の記憶を拾ってくる。
春休みで通った会社には、彼によく似た警備員がいた。
男性社員に飲み会に誘われていたところを、助けられたことがある。
オフィスでのアルバイトをすると、スーツを着たビジネスマンに時々飲み会に誘われた。行けば歓迎会。終われば打ち上げ、送別会など。
『上のおじさん達は来ないから、楽しく飲もうよ』なんて言われたけれど、むしろ上役のおじさんが一緒のほうが安心できる。
もともと男性には警戒心が強い向葵からすれば、下心をギラギラさせる若いビジネスマンには嫌悪感しか生まれず、決して飲み会には参加はしなかった。
その日も、帰りがけのロビーでしつこく誘われて、助けてくれたのが警備員のお兄さんだった。
彼も帽子を目深に被っていたから、ウォーターサーバーのお兄さんと同じ人かどうかは確信がないが。