若奥さまと、秘密のダーリン +ep2(7/26)
初めての夕食で出てきたのは、牛肉の、赤ワインの煮込み料理だった。
フォークで崩れるほど柔らかく煮込まれた肉を味わって、『とても美味しいよ』と伝えると、向葵は恥ずかしそうに頬を染めながら、言い訳をするように電気調理機を指差して、私がしたことは、あそこに材料を入れただけなんですと照れた。
聞けば、中学に入った頃には既に彼女が夕食を作って、働く母の帰りを待っていたのだという。その頃の楽しみはなんだったの?と聞けば、『学校の図書館で借りてきた本を読むこと』と答えた。
なのにどうして大学では文学部ではなく経済学を専攻したのかと聞くと、『働くためには、その方がいいと思って』。
もしかすると、本が好きで読んだというよりは、無償という理由で図書館の本を読んだのかもしれない。
自分のやりたいことを優先する余裕は彼女にはなかっただろう。
今回の結婚もそうだ。それをわかっていて奨学金を餌に彼女を釣ったのだから。
フォークで崩れるほど柔らかく煮込まれた肉を味わって、『とても美味しいよ』と伝えると、向葵は恥ずかしそうに頬を染めながら、言い訳をするように電気調理機を指差して、私がしたことは、あそこに材料を入れただけなんですと照れた。
聞けば、中学に入った頃には既に彼女が夕食を作って、働く母の帰りを待っていたのだという。その頃の楽しみはなんだったの?と聞けば、『学校の図書館で借りてきた本を読むこと』と答えた。
なのにどうして大学では文学部ではなく経済学を専攻したのかと聞くと、『働くためには、その方がいいと思って』。
もしかすると、本が好きで読んだというよりは、無償という理由で図書館の本を読んだのかもしれない。
自分のやりたいことを優先する余裕は彼女にはなかっただろう。
今回の結婚もそうだ。それをわかっていて奨学金を餌に彼女を釣ったのだから。