若奥さまと、秘密のダーリン +ep2(7/26)
次の日の会議のためにどうしても確認してほしい書類があり、時間はかなり遅かったが、矢神は彼の元に駆け付けた。
彼は部屋着に着替えていたし意識はしっかりとはしていたが、顔色は悪く、とても疲れているように見えた。

酔っていると気づいたのは彼が席を立った時だった。
ふらりと足元がぐらつき、慌てた矢神に彼は、『すまない、飲み過ぎた』と言ったのである。

友人の結婚式ならそんなこともあるだろう。そう思ったことも覚えている。

酔っていたことと、新婦の名が"しゅうこ"という女性で、向葵に似ていることは、何も関係がないことかもしれない。

それでも何かが、心に引っ掛かった。
もし偶然の一致でないとすれば……。

気になるのに、何もせずにいるのは性に合わない。早めに帰った上司を見送ったあと、思い切って向かったのは彼の親友がオーナーであるバー。
果たして氷室仁はそこにいた。
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