若奥さまと、秘密のダーリン +ep2(7/26)
真行寺柊子は人妻なのだ。
向葵を選んだ理由が彼女に似ているということにあっても、それは好みの問題にすぎないかもしれない。それに二年後も彼女が望めばこの結婚は続く約束なのだ。

「ええ、もちろん。約束ですから」
「あの。それならどうして、今いらしたんですか?」

矢神はいつもなら向葵に会った後に様子を聞きに来る。なのに今日は佳織が向葵と会う前に来た。わざわざこうして知らせる理由はなんなのか。

弁護士としても優秀な佳織は不自然さを見逃さない。

そんな佳織に感心しながら、矢神は正直に伝えることにした。
「羽原さんに事情を知っておいてもらったほうが、いいかと思いましてね」

佳織の胸で、ざわざわと暗い影が蠢いた。

「あの、それで、真行寺崇文氏と夫人は、円満なのですか?」
「真行寺崇文は女性関係が派手なことで知られています」

「真行寺氏が結婚したのは、いつなんですか?」
「半年前」

「えっ?」
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