若奥さまと、秘密のダーリン +ep2(7/26)
――ということは。

「もしかしたら、彼女は真行寺柊子の身代わりで、もし真行寺崇文氏が女性問題で離婚することになったら、もしかしたら月井さんは……」
最後は声が震えていた、

「全ては私の憶測ですよ。向葵さんにとって、よくない状況も想定しておいたほうがいいだろうというだけの、想像です」

矢神はそれだけ伝えると帰っていった。

ひとりになった佳織は、自分の席に戻る気にはなれず、そのまま会議室に残った。

今日は向葵とランチの約束でいたが、午後からの仕事の都合で時間を十時半に変更していた。あと十五分ほどで約束の時間になる。

早ければもう来るだろう。
ここにいると受付に連絡を入れて、椅子に腰を下ろす。心が重たいせいか、体がずしりと沈み混むような気がした。

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