若奥さまと、秘密のダーリン +ep2(7/26)
想像するだけで、ざわざわと胸が騒ぐ。

メッセージが届いたのはそれからしばらくして、夏梨とお好み焼きを作り始めた時だった。

「あ、焼きそば焼きそば」と言いながら夏梨が台所に行った隙に、ドキドキしながらそっと開く。

『出張が少し延びそうだ。帰ったら連絡するから食事に行こう』

途端に肩の力が落ちた。フゥと息を吐く。

『はい。お仕事がんばってね』
安心して、そう返事を送る。
まるで死刑宣告が延びたような妙な気分だった。


次の日、夏梨と別れてひとりになると、向葵の頭の中は夕翔のことで埋め尽くされた。

――彼は、いつ戻るのだろう?
早くメッセージを見てほしいような、見てほしくないような。行きつ戻りつと心は彷徨う。

そんなに気になるなら、いっそマンションに行ってメモを捨ててしまおうかとも思ったが、そうかと言って、アパート暮らしに戻らないわけにはいかないし、直接彼に伝える自信はもっとない。

これ以上あなたを好きになるのが辛いんです。そんなこと言えるはずがない……。

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