若奥さまと、秘密のダーリン +ep2(7/26)
スラリと背が高くて、割りと整った顔に少し明るい髪がよく似合っている。健太は昔から女の子にモテて、いつも違った女の子を連れて歩いていた。

とまあそんなわけで軽薄そうに見えるけれど、実は結構、情に厚い。何やかやと文句をいつつも、向葵が困った時は必ず助けてくれる。

ふたりは親友のように仲がよかった。
でも、そこに恋愛感情はない。そういう感情がなかったからこそ、長い付き合いなのだと、向葵は思っている。

「忙しくねえよ。なあ、これからどこか出掛けるのか?」
「え? あ、ううん。帰るところ」

「ふぅーん。じゃあさ、そこでなんかおごれよ、罰として」
「えー?」

「あ、なにお前、その嫌そーな顔」
クスクスと笑う。

「わかった。でもなんだか、やけにおしゃれなお店だなぁと思って」
「大丈夫だよ、高かったら俺がおごる」

――あはは。それじゃなんの罰にもならないじゃない。

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