若奥さまと、秘密のダーリン +ep2(7/26)

健太の家はお金持ちだ。健太の父は大企業の重役で、門構えからすでに立派な家に住んでいる。――夕翔には足元にも及ばないけれど。
それでも彼は必要なだけのお小遣いは、十分にもらっているだろう。

「違うよ。お金じゃなくて、格好……」

――あ。
今日はＴシャツにデニムのパンツではなかった。フランス語のレッスンなので、たまたまおしゃれをしている。夕翔と外出する時ほどではないが、ふわふわした白地のブラウスにレモン色をしたリボンベルトのフレアスカート。おまけにお化粧も薄くしている。

「格好？」
「あ、ううんなんでもない。じゃ行こう」

店に入ると向葵はパフェを頼んだ。
スイーツ男子の健太はパンケーキ。

贅沢かとも思ったけれど、滅多にないことなので奮発する。
逆に食べなければ健太も困るだろう。

「それでどうしたの？　私を誘おうと思ったなんて、彼女と別れちゃったの？」

健太にはいつも恋人と呼べる彼女がいた。

「いないよ。お前なんか勘違いしてねーか？　確かに女の子の友達は多いけど別に付き合ってるわけじゃねーし」