若奥さまと、秘密のダーリン +ep2(7/26)
「向葵、俺、ずっとお前のことが好きだった。お前は真面目だし大学に行ってもバイト続きで遊ぶ暇もないってわかっていた。だけど、言うだけなら、もう言ってもいいだろう?」
「ごめん。健太」
「はやっ、少しは考えろよ」
「――ごめん」
驚いたことと、話を受け入れることは別だ。答えは決まっている。
「好きな人がいるんだろう? わかったよ。さっきお前を見てわかった。綺麗になったよな」
「健太……」
肩を落とした健太を見るのは、なんだかとても辛かった。
その原因が自分にあると思うと、申し訳なくていたたまれない。
「それで? どこの誰なんだ? お前が好きな奴」
「え? ――それは」
「どんな奴かくらい、教えてくれたっていいだろう?」
「うん。大人の」
と言った時、向葵たちの席の脇を、客が通りすぎた。目の端に写る濃紺のスーツ。
その時、ふと、淡い香りを感じた。
――え?
その客は帰るところだった。
背の高い、ふたりのビジネスマン。
会計を済ませている男性の横顔は、
――矢神さん?
「ごめん。健太」
「はやっ、少しは考えろよ」
「――ごめん」
驚いたことと、話を受け入れることは別だ。答えは決まっている。
「好きな人がいるんだろう? わかったよ。さっきお前を見てわかった。綺麗になったよな」
「健太……」
肩を落とした健太を見るのは、なんだかとても辛かった。
その原因が自分にあると思うと、申し訳なくていたたまれない。
「それで? どこの誰なんだ? お前が好きな奴」
「え? ――それは」
「どんな奴かくらい、教えてくれたっていいだろう?」
「うん。大人の」
と言った時、向葵たちの席の脇を、客が通りすぎた。目の端に写る濃紺のスーツ。
その時、ふと、淡い香りを感じた。
――え?
その客は帰るところだった。
背の高い、ふたりのビジネスマン。
会計を済ませている男性の横顔は、
――矢神さん?