若奥さまと、秘密のダーリン +ep2(7/26)
一緒にいた担当者にそう聞かれたが、その時は『いや、大丈夫』と断った。

打ち合わせを兼ねた会食が終わりホテルの部屋に戻ってひと息つくと、やはり気になって次の日には迷わず購入した。

向葵が好きなウサギのモチーフのネックレス。

喜んでくれるだろうか。
そう思いながらホテルの部屋に入った。

元々身についているホテル暮らしのはずが、荷物を置きながら今まで感じたことのない寂しさを覚えたのは気のせいじゃなかったと思う。

彼女がいないベッドは、やけに広く感じた。物足りなさを抱えながら、ひとり寝はこんなにつまらないものかと、漏れたため息。
手を伸ばせばそこにいるはずの向葵を思い、彼女の甘い香りの記憶を探り、向葵が恋しいとつくづく思った。

でも、こんな気持ちは今がピークだ。
少しずつ下降して、二年後までには落ち着かせる。

いまのうち飽きるほど可愛がり、自分のもとを旅立つ彼女を満足させればいい。

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