若奥さまと、秘密のダーリン +ep2(7/26)
そう思いながら戻ってきたはずが――。

『お疲れさまです。
夏休みが終わったのでアパートに戻ることにしました。
私が必要なことがあれば、いつでも呼んでくださいね。 向葵』

待っているはずの彼女はいなかった。

静まり返ったひと気のない部屋。ダイニングテーブルの上に置いてあったのはメモだけではない。ラッピングされた箱がひとつ。
箱のリボンを解くと、中には、ジグソーパズルのピースが詰まっていた。他に、メッセージカードが一枚。

『ものすごく暇な時にでも遊んでください。
と言ってもそんな暇はないですね(笑) 向葵』

部屋の静けさが、なんともいえない空虚な空間を作っていた。

向葵がいないならこの部屋にいる必要はない。
かといって今更ホテルに行くの億劫だった。

気を取り直して軽くシャワーを浴びた。

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