若奥さまと、秘密のダーリン +ep2(7/26)
扉の前で立ち止まり、ガラスに描いてある月を見つめる。店の名前、『氷の月』のモチーフにしてあるのだろう。まるで氷のように溶けていく月が描いてある。

扉を開けると、カウンターに座っている仁と目が合った。

隣にいるのは……。

振り返った彼女は、艶やかに笑う。

――柊子。

「ゆう」

「じゃあ、俺は向こうにいる」
そう言って仁は夕翔の肩を叩き、入れ替わるようにして席を立った。


「悪かったね。呼び出したりして」
「いいのよ」

ワインを頼んで、席に腰を下ろす。

彼女がここにいられる時間は、一時間。前もって仁から聞いている。

「ごめんね、ゆう。心配してくれたんでしょう? 真行寺のこと」

「柊子は大丈夫なの?」

「彼の浮気はもう病気だから」

柊子は、あきれたようにため息をつく。

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