若奥さまと、秘密のダーリン +ep2(7/26)
私がここにいるから?
だとしてもどうしてだろう。どんなに考えてもわからない。

そのままぼんやりとするうち、玄関の扉が、コンコンとノックされた。

覗き穴を見ると、「え?」
「お母さん?」

朝の来訪者は、向葵の母だった。

「夏休みだっていうのに全然来ないから来ちゃったわ。この時間ならいるかと思ってね。よかった会えて」
「ごめんね。連絡くれたらよかったのに」

「言ったところで、遠慮するでしょう? 面倒だから来ちゃったわ」

とりあえず入って、と中へ促す。母は大きな段ボールを抱えて入ってきた。

「はい。食材が色々入っているから」
「うわー。ありがとう」

部屋をぐるりと見渡した母は、「綺麗にしているわね」と感心するように言う。

「向葵は小さい頃から、なんでもひとりでできる子だったもんね」

「狭い部屋だから。ごめんね、なかなか行けなくて」
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