若奥さまと、秘密のダーリン +ep2(7/26)
行けなくて……。
『帰れなくて』とは言えなかった。母の今の家は自分の家ではないという気持ちの表れだろう。
多分、その些細なニュアンスの違いに母も気づいていると思って、向葵は少し後悔した。
「うちに来ないのは、やっぱり遠慮しちゃうからでしょ。実のお父さんじゃないもの」
「――別に、そういうわけじゃ」
「実はね向葵。あなたももう二十歳だから言うけど、あなたのお父さんと離婚した理由、お父さんだけが悪いわけじゃないの」
「え?」
両親の離婚の理由は、父が家庭より研究を選んだからだと聞いていた。
「お父さんは勉強ばかりしていて、お金に無頓着でね。生活に苦しくて、私は辛くてね。いつの間にか心が離れちゃった。お母さんから離婚したいって言ったの」
もちろん初耳だった。
『帰れなくて』とは言えなかった。母の今の家は自分の家ではないという気持ちの表れだろう。
多分、その些細なニュアンスの違いに母も気づいていると思って、向葵は少し後悔した。
「うちに来ないのは、やっぱり遠慮しちゃうからでしょ。実のお父さんじゃないもの」
「――別に、そういうわけじゃ」
「実はね向葵。あなたももう二十歳だから言うけど、あなたのお父さんと離婚した理由、お父さんだけが悪いわけじゃないの」
「え?」
両親の離婚の理由は、父が家庭より研究を選んだからだと聞いていた。
「お父さんは勉強ばかりしていて、お金に無頓着でね。生活に苦しくて、私は辛くてね。いつの間にか心が離れちゃった。お母さんから離婚したいって言ったの」
もちろん初耳だった。