若奥さまと、秘密のダーリン +ep2(7/26)

少し不安そうに見上げてくる向葵を振り返った夕翔は、ちょっとだけ眉をひそめた。

「びっくりしたよ、妻が口説かれているんだからね」

「聞こえたの？」
「うん。通りかかった時は、ちょうど向葵が告白されているところだったよ」

「ち、違うの。っていうか、あのね、私はね、すぐに断ったの。健太もなにか勘違いして、あ、健太っていうのは一緒にいた幼馴染なんだけど。――あれ？　そういえばどうして幼馴染だって知ってるの？」

「契約の時に、君に恋人がいないかどうか調べたからね。ちなみに彼の父親はうちのグループ企業の役員だ」

「ええーー、すごい！　すごい偶然！　偶然もすごいけど、ただの幼馴染なのに。探偵ってそんなことまで調べちゃうの？　怖い」

「そうだよ。だから君は、浮気なんて考えないほうがいい」

「夕翔さんこそ」