若奥さまと、秘密のダーリン +ep2(7/26)
そしてふたりは折り目正しく頭を下げた。

「それはおめでとう」

「えええ? そうなんですかっ。え、でも結婚って、ええ? いつからお付き合いを?」

「告白したのは常務が花束を持って奥さまを迎えに行った日です」

「それって、おとといですよ?」

「ええ、そうですね。おふたりのお陰で、こんなことになりました。ありがとうございます」

にこにこと笑みを浮かべる彼の隣で、ほんのりと頬を染めて俯く羽原佳織が、向葵には可愛らしくみえた。
自分よりも全然大人でしっかりとしたキャリアウーマンだというのに。
――恋をするとみんな同じなんだ。

「おめでとうございます! とってもとーーーってもお似合いです」
ね、と見上げると、夕翔も頷いている。
「お似合いだ」


四人で食べるケーキは、口に入れるたびに色々な味がした。

向葵は夕翔を振り返った。
「美味しいね」
「ああ。とっても美味しい」

< 290 / 314 >

この作品をシェア

pagetop