若奥さまと、秘密のダーリン +ep2(7/26)
――うふふ。実はね。
見えないだけで、モフモフの毛糸のパンツを履いているの。このワンピースならわからないから大丈夫

帰ってきたら速攻で脱いじゃうけどね、うふふ。


本当は、なによりも可愛い物が好き。

見た目はがんばって大人っぽくしたいけど、可愛いほうが好き。
せめてもと、見えないどこかしかで可愛いものを身に着けずにはいられない。

うさぎのTシャツは大学に行く時以外はもう着ないけれど、このマンションの向葵の部屋には反動のようにうさぎグッズが山とある。

向葵は夕翔がロリコンと言われるのが悔しくて仕方がないのだった。
“若い奥さんだね”、“若奥さまだ”
若いだけが取り柄のようで、それもちょっと気に入らない。


玄関を出ると、夕翔が向葵の腰に腕を回わす。

「あれ、手袋買ったの? 可愛いね」

まずい、可愛いと言ってしまったと夕翔は思ったが、手袋が可愛いと言われる分には構わないらしい。
向葵は満足そうに、手をひらひらさせた。

黒い手袋はよく見ると、小さなウサギの飾りがついている。

「でしょ、ここにウサギが付いているの、可愛いのよね~」


可愛いは正義。
可愛いは大好き。

――でも。

誰にも可愛いなんて言わせない!




*~終わり~* 

ある冬の週末。可愛いなんて言わせない。
< 299 / 314 >

この作品をシェア

pagetop