若奥さまと、秘密のダーリン +ep2(7/26)
そう言ってニッコリと笑う彼も疲れているはずなのに、妙に爽やかに見えて、それがまた心を沈ませた。

一緒にエレベーターに乗ると、彼がいたわるように肩を抱いてきた。
『大丈夫か? 昨夜も俺より遅かったし』

『もう少しなの、いま抱えている仕事がもう少しで終わるから』

『そうか』
慰めるように優しく腕をさする彼に寄りかかり、どちらからともなく重ねた唇。

部屋に入るなり、彼に抱き上げられて寝室にいき、倒れ込むように抱き合った。

いいのか?と聞く彼の唇を唇で塞ぎ。
何度も何度も。疲れているのに、むしら疲れていたからなのかもしれない。何も考えずに、ただ本能のまま彼に体を預けて。涙なのか唾液なのかもわからないほど、むさぼるように睦み合って、そのまま死んだように眠ったあの夜。


あの日。
彼が救ってくれたあの日に違いない。
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