若奥さまと、秘密のダーリン +ep2(7/26)
「――冗談ですよね?」
「本当です」

「いやいやいやいや、だっておかしいじゃないですか。この人ですか?」
「ええ、この方です。冗談ではなく本当の話ですよ」

「私、あの、こ、この後バイトがあるので、そろそろ」
立ち上がろうとする向葵の手を、立ち上がって佳織が掴んだ。

「ちょっと待ってください!」
「うわっ、な、なんですか?」

「ご本人と話をしてみてください」

呆然とする向葵に、身を乗り出した羽原弁護士は、必死な様子で訴える。
「まもなく月井さまの秘書が来ます。彼の話を聞いて、ご本人ともテレビ電話で話をして、それから考えてみませんか?」

「秘書?」

迫力に圧され、浮かせた腰をとりあえず下した向葵は、
ようやく本当の話なのかと思い始めた。

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