若奥さまと、秘密のダーリン +ep2(7/26)
なんとなく、本当になんとなくだが、納得できた。気がする。

「とにかく月井さまご本人とお話をしてみてください」

羽原弁護士はそう言うと、タブレットに指を滑らせた。

そして画面に向かって「花森さまに代わります」と、タブレットの画面を向葵に向けた。

「へっ?」と素っ頓狂な声が出た。
断る間もない。

月井夕翔。
本人が、画面に現れた。

突然向けられたタブレット画面に映る彼は、テーブルの上に出された写真そのまま、ビスクドールのように繊細な面差しで、にっこりと微笑んでいる。

『こんにちは、はじめまして。月井夕翔です』

髪はほんの少し明るい色をして軽く波を打ち、優し気で甘い目元では少し茶色がかった瞳がまたビー玉のように潤んで見えた。

向葵はただただ呆気にとられた。
――王子さまだ。王子さまがしゃべった。

「……こんにちは。花森向葵です」
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