若奥さまと、秘密のダーリン +ep2(7/26)
2.豪華すぎる秘密
アパートに帰った向葵は、後ろ手に玄関のドアを閉じた。
そして、茫然と立ちつくす。

どんな風にしてここまで帰ってきたのか、よく覚えていない。
もしや、ソニオ法律事務所の会議室の扉が、実はパラレルワールドの入り口だったりして? なんてことを考えていると、ピコピコとスマートホンが鳴った。

夏梨からのSNSメッセージだ。
『どうだった?奨学金、給付型になった?』

面接結果を心配してくれる親友に、どう返事をしたらいいものか。
悩んだ末、ごく一般的な喜びの報告をすることにした。

『大丈夫だった! 給付にしてもらえたよ!』
そう返事を書いて、狂喜乱舞のスタンプをふたつ貼る。

やったじゃん!という喜びの返事とともに、夏梨もクラッカーを鳴らすスタンプをくれた。

ありがとうとまた返事を書き込んだあと、『実は、』と文字を打つ。
でも、少し考えたあと、その字を削除した。

親友に打ち明けるにも、まだ心構えができていない。
それに伝えるにしても直接会って説明しなければ、ちゃんと伝わらないだろうと思った。

話すにしても、もう少し後がいい。
せめて自分の気持ちがもうすこし落ち着いてから。

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