若奥さまと、秘密のダーリン +ep2(7/26)
午後は夏休み中のバイトを探しに歩くつもりでいたが、もうその必要もない。

現実的なことを考えたせいか、興奮の熱は少しずつ冷めてゆく。

恋とお金、そのふたつは普通なら繋がらないだろう。
繋がってみえる時は、相手に恋をしているわけではなく、お金に恋をしているんだ。などと様々な事を思い巡らせながら、しばらくベッドの上で天井をぼんやりと見つめていた向葵は、いつしか瞼を閉じて眠りに落ちていた。

かつてないほど混乱して、頭の中が疲れきったのだろう。なにしろ突然、人形のように綺麗で王子さまのように素敵な御曹司の、妻になったのだから。


夢を見た。

舞踏会で、シンデレラのように王子さまとダンスをする夢だった。

幸せで、幸せすぎて。でもこんな幸せは長くは続かないよと、誰かが囁いた。

『――いいかい向葵。魔法はいつかとけてしまうんだ』
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