若奥さまと、秘密のダーリン +ep2(7/26)
結婚は一生を左右する大きな問題だ。
同じ女性として、なにかとてつもない間違ったことをしてしまったのではないだろうか? 何しろ花森向葵は二十歳になったばかりの、まだ幼さが残る純粋な女の子なのである。

「あの……」
言い辛そうに一旦言葉をきった佳織は、矢神の目をジッと見ながら思い切って口火をきった。

「月井さまは、その……。結婚したとはいえ、彼女に強引に肉体関係を迫るということは、本当にないのですよね?」

彼には、おかしな性癖があるわけではないですよね? 後ろ楯も力もない若い女性を、欲望のままに蹂躙するために結婚したということは、ないんですよね?

本当はそこまで言いたかったが、流石に失礼かと口にはだせない。
でもそれこそが、唯一といっていい心配ともいえる。

全てを割り切って本当に形式だけの夫婦なら、二年間はそう長くはないだろう。大学の卒業と共にまた新たな人生を送ることができる。その時でも彼女はまだ二十二歳なのだから。

でも、心身ともにボロボロになった花森向葵を見たくはない。
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