若奥さまと、秘密のダーリン +ep2(7/26)
「それはその、わきまえていらっしゃる方々ばかりというか」
「は?」

「いえ、心配はありません。健康な方ばかりですし」
「健康って……。矢神さん!? あの子は純粋で何も知らない、いたいけな女の子なんですよ? ちょっとすみません、やはりこの話は」

佳織は矢神に渡した婚姻届を取り上げようと手を伸ばした。

わきまえてる健康な女ってなに? それって、普通じゃないってことでしょう?
――冗談じゃない!

「え? ちょっと羽原さん?」
「すみませんが、変態の加担はできません。返してください!」

「なに言ってるんですか」

テーブルを挟んで、婚姻届が入ったファイルを二人は引っ張りあう。

「待ってください!変態なわけないじゃないですか。月井のことはあなたもよく知っているでしょう?」
「プライベートなことまで知りません! あなただってそう言ったじゃないですかっ」

「私が保証します!絶対に大丈夫ですから」
「そんなの信用できませんよ! あっ」

すったもんだのあげくファイルを取り上げたのは矢神だ。
大きく息を吐いた彼は、ファイルを高く掲げたまま佳織を見下ろした。

「だったらこうしましよう」
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