若奥さまと、秘密のダーリン +ep2(7/26)
次の日。
月井エンジニアリングの高層階。そこは役員室が並ぶフロアだ。
静まりかえっている廊下で、とある扉を前にしたまま矢神は立ち止まっている。
確認のためにジャケットの内側をチラリと覗く。胸ポケットには封筒が見える。封筒の中身は、昨日預かった婚姻届。
矢神は複雑な思いに視線を揺らしながら、軽いため息をつく。
この扉の向こう側にいるのは彼の上司で常務取締役である、月井夕翔。
夕翔は昨夜遅く北海道出張から帰ったばかりだ。
始業時間前のひととき、疲れているであろう上司を煩わせたくはないが、やはり確認しなければならないと思った。
――どうしても。
「失礼します」
執務室に入った矢神は、夕翔をまっすぐに見て、彼の元へ歩いて行く。
椅子にゆったりと体を預けている彼は、デスクのほうではなく窓の方に体を向けて、新聞を読んでいる。
月井エンジニアリングの高層階。そこは役員室が並ぶフロアだ。
静まりかえっている廊下で、とある扉を前にしたまま矢神は立ち止まっている。
確認のためにジャケットの内側をチラリと覗く。胸ポケットには封筒が見える。封筒の中身は、昨日預かった婚姻届。
矢神は複雑な思いに視線を揺らしながら、軽いため息をつく。
この扉の向こう側にいるのは彼の上司で常務取締役である、月井夕翔。
夕翔は昨夜遅く北海道出張から帰ったばかりだ。
始業時間前のひととき、疲れているであろう上司を煩わせたくはないが、やはり確認しなければならないと思った。
――どうしても。
「失礼します」
執務室に入った矢神は、夕翔をまっすぐに見て、彼の元へ歩いて行く。
椅子にゆったりと体を預けている彼は、デスクのほうではなく窓の方に体を向けて、新聞を読んでいる。