若奥さまと、秘密のダーリン +ep2(7/26)
いまもそうだ。腕を組み、肘掛けに腕をつき親指を顎に乗せながら睨む彼の瞳は、これ以上聞くなと言っている。

矢神は今度こそあきらめたように視線を落とし、口を閉ざた。

ゆっくりと頭をさげて上司に背を向け、まっすぐに扉にむかって歩き、廊下に出る。
そして扉を閉じたあと、今度は深くて長い溜息をつく。

胸ポケットの中にある封筒がいよいよ現実味を増して、ずっしりと重く矢神に圧し掛かった。

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