若奥さまと、秘密のダーリン +ep2(7/26)
――その通りです。
よくわかっていらっしゃるじゃないですか。
この話、怪しい臭いがプンプンします。

たとえ二十歳という若さであっても、国民的美少女であるとか抜きん出た才能のあるの女性なら違うだろうが、一般社会のごく平凡な女の子には異常な話である。

言葉は悪いが、余程能天気な馬鹿娘か、業突く張りでもない限り、
怪しんでこそ普通だ。


「何の接点もないということは、この方と月井さまとは一度の面識もないと?」

「そう思ってもらっていい」


随分と含みのある言い方だが、少なくとも彼女からすれば彼は見知らぬ人なのだろう。

ということは、一目惚れなのか?

佳織は再び写真に目を落とす。
だが何度見たところで、写真に写る女の子は特に輝いては見えない。

なぜ彼女なのですかと彼に聞くことは踏み込み過ぎなのだろうか?
そう考えてふと気づいた。

違う。理由など問題ではない。

むしろ、こじつけでもなんでもいいから彼女を説得しろということなのだろう。

だから彼は、彼女を選んだ理由を言わないのだ。
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