愛さずにはいられない
「終わり!」
仁がそう言ってドライヤーを止めると
「さすがプロ」
と奈央が冷やかした。
「まぁな。」
仁は少し照れながらドライヤーを浴室へ戻すとすぐソファに戻る。
「どこか行きたいところあった?」
「うーん。仁が仁が付箋を貼ってるこのジェラート屋さんは絶対に行きたい。」
「どれどれ?」
奈央の指さすところを仁が近づき見る。
「これか!うまそうだよな。添加物使用してないらしくてさ、色素使ってなくてこの色って、すごいよな。これなら奈央でも最高の写真が撮れそうだよ。」
「ひどっ」
他愛もない会話が楽しい。心地よい二人の時間。

「ねぇ仁?」
ふと奈央が仁を呼び仁が本から奈央に視線を移す。
「もしかしてこの時間を作るために最近、今まで以上に忙しかったの?」
奈央の言葉に仁はすぐに「そんなことない」と返事をした。
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