愛さずにはいられない
「俺たちの思い出の中には絃がいて当たり前なんだ。だから、俺に気を遣うことない。つかってほしくない。」
「・・・うん。わかった。」
そうは仁が言ってくれたもののやはりまだ絃の話題を二人の間に出すのには微妙な空気を作ってしまうと奈央は思っていた。
「これはどう?」
「・・・」
奈央が話題を変えようと仁の手を引いてウッドチェアのフロアに向かう。

その後ろ姿を見ながら、これから自分たちには時間がたくさんある。

そう気持ちを新たにする仁だった。
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