愛さずにはいられない
絃が亡くなった時、すでに美容専門学校に入学が決まっていた奈央。自分の興味があるもので専門学校に行くことを選んだ。どうしてもその道に進みたかったわけではない。
専門学校を卒業するときにはせっかくの知識がいかせる場所という理由で今の会社に入社した。
好きなファッションに携わる仕事はやりがいを感じた。
でも編集者はデスクワークも多い。記事を書くためには文法や構成も時間がかかる。

奈央は今の編集者になって5年が経ち自分のやりたいことが見えてきたように思っていた。

奈央の言葉に仁は奈央をじっと見つめている。

それは驚いたからでもある。
でもそれだけじゃない。

奈央が人生の中で何かを自分からやりたいと決めるのも、見つけるのも、初めてじゃないかと思うと仁はただただうれしかった。
「いいじゃん！」
仁は笑顔で奈央にそういう。
奈央は仁の反応にほっとしたかのように満面の笑みになった。
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