愛さずにはいられない
奈央の髪はもちろん仁がセットした。
奈央は最近、髪を乾かすときや朝のヘアセットを仁にしてもらうことが多かった。
仁は手際もよくて奈央に似合う髪形を一番知っている。

今日も朝から一緒にシャワーを浴びて奈央の髪型を仁がセットした。

仁の着ているスーツやネクタイ、靴、タイピン、時計を選んだのは奈央だ。

お互いの生活にお互いの存在があることを感じながら毎日が新鮮だった。

仁の運転する車の中で奈央はショーのパンフレットを見ていた。

「今日って大悟さんもスタッフとして参加してるんでしょ?」
「あぁ。毎年参加してるよ。これだけ現役でショーに誘ってもらえるなんてすごいことだよな。」
「そういう仁だって来月のショーに参加して5年目でしょ?」
仁は今回のショーに誘われたが来月のパリでのショーを控えていて断っていた。
「やりがいもあるけど、やっぱりプレッシャーだよな。来年も呼んでもらえるように頑張らないとな。」
「そうだね。でも、仁は私の専属ヘアメイク担当ってところはずっと変わらないね。」
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