愛さずにはいられない
踏み出す勇気
その日以来、奈央は仁と過ごす時間が増えた。
「奈央」
「仁」
仁が参加しない撮影の日でも、仁はスタジオに奈央を迎えに来ることが増えた。
「仕事忙しいんでしょ？いいのに・・・」
遠慮する奈央に仁が奈央の頭に自分の手をのせる。
「そんなこと気にしなくていいの。俺がしたくてしてるんだから。」
「・・・でも・・・」
スタジオの外に車を停めて、車の外へ出て待っていた仁。
その姿を周囲の人が見ている。
仁は背も高くてかなり目立つ。整った顔に周囲の女性が振り返るのも分かる気がすると奈央は客観的に思っていた。
「歩いてだって帰れるのに。」
「危ないだろ？」
「大丈夫だよ。私を襲う人なんていないって。」
「こらっ。自覚しろ。俺面食いだぞ？」
そんな仁の言葉に思わず奈央が笑うと仁は助手席のドアを開けて奈央に乗るように促した。
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表紙・目次

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