愛さずにはいられない
職場が同じ仁の父からの連絡で奈央の母も奈央へ連絡をしてタクシーで病院へ向かっている。
仁は父からの連絡で奈央を病院へ連れてくるように言われていた。

「大丈夫」
仁は助手席の奈央の手を握る。その手の冷たさに緊張を感じた。
「奈央」
信号が赤になりふと隣の奈央を見ると、奈央は絃が事故に遭った時と同じ表情をしていた。

仁は今度こそ奈央が壊れてしまうのではないかと不安になる。

奈央の気持ちが壊れてしまわないようにその手を握りしめることしか仁にはできない。



病院へ着くと奈央はすぐに助手席のドアを開けて走り出す。
仁もすぐに追いかけて救急の処置室へ向かった。

「奈央ちゃん、仁。」
そこには仁の父がいた。
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