愛さずにはいられない
「大丈夫ですか?」
正面で説明していた医師が慌てて立ち上がる。
すかさず奈央の体を仁が支える。
「ちょっと過呼吸になりかけてますね。点滴しますか。」
医師が奈央の横に膝をつき脈をとる。
「ここじゃなんなので、あちらの処置室にどうぞ?あなたも一緒の方がよさそうだ。」
医師は仁の手をギュッと握っている奈央に、仁も一緒に処置室へ入るよう促した。
「すみません」
仁がそう言うと医師は仁にも優しく微笑む。
「大丈夫ですよ。驚かれますよね。お気持ちお察しします。」

そのまま奈央は仁と医師に支えられて処置室へ移動し点滴をしてもらった。

「なにかあったら遠慮なく声かけてくださいね。お父さんの目が覚めたら呼びますね。」
医師はそういうと処置室のカーテンを閉めて出て行った。


「ごめんね」
ベッドに横になっている奈央が仁に謝ると仁はベッドの横の椅子に座り奈央の頭を撫でた。
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