愛さずにはいられない
「ひとまず、安心だな。」
仁の言葉に奈央が頷く。
仁は自分のカバンから目薬を出した。
「必要だろ?」
ちょうど目が痛んでいた時だった奈央は仁から目薬を預かろうと点滴している手を伸ばす。
「いいから」
仁はその手を止めて奈央の目に目薬をさしてくれた。
「ありがとう・・・」
「少し目、閉じて休んでな。」
「・・・でもお母さん来るから」
「親父から先におばさんには連絡してもらってる。少しでも早く知りたいだろうからさ。」
「・・・ありがとう」
こんな時に仁がそばにいてくれて本当に良かったと奈央は感じていた。

「仁がいてくれてよかった・・・」
奈央はそっと目を閉じる。

今、安心してこうして目を閉じることができるのも、仁が隣にいてくれるからだ。
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