愛さずにはいられない
「今日もうまそう！」
仁がすぐにリビングへ向かう。

夜は会食したり、後輩に食事をおごったりすることの多い仁。
奈央は夕食を用意しない代わりに朝食は手の込んだものを用意するようにしていた。
「あんまり無理しないでほしい・・・」

奈央がリビングの仁にコーヒーを淹れる。
「大丈夫。俺、体力には自信あるんだ。奈央の方が最近忙しいだろ？秋の特別号で忙しいんだろ？」
「私の忙しさとは比べないで。」
奈央が頬を膨らませると仁は奈央の頭を撫でた。
「もう行く時間だろ？」
仁が時計を見る。8時を回っていた。
「今日はスタジオじゃなくて現場に直行だからもう少し時間あるの。」
「そっか。」
「お味噌汁あっためるね。」
「おう。」
寝ぐせ頭の仁が椅子に座る。奈央は思わずその髪に触れていた。
< 90 / 297 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop