愛さずにはいられない

「毎日、芸術作品みたい。」
「これで美容師なんてすごいよな。」
仁がそう言って笑う。

奈央はぴょんとはねた仁の髪を撫でながら、心がじんわりとあたたかくなるのを感じた。

奈央は仁の髪を撫でた後、キッチンへ向かってお味噌汁を温め始めた。
そんな奈央のに仁がついてくる。
「ごはんは？少し？いっぱい？」
「山盛りで。」
仁は細い体に合わずよく食べる。
奈央は作り甲斐を感じていた。
仁の言葉に奈央が微笑みながら仁専用の大きな茶碗を出す。
「お？新しい食器が増えてる。」
「うん。仁専用の特大茶碗！」
奈央がそう言って笑うと仁は嬉しそうに微笑み返しながらその茶碗を見た。
「ごめんな。本当は一緒に見に行っていろいろ揃えたいんだけど。ほとんどこの辺は奈央に任せっきりだな。」
「うんん。楽しいからいいの。」
新しいものをそろえて作っていくことは奈央にとって楽しみでもあった。