オレ様のシモベ


「冗談抜きで他のヤローには絶対に食わせるなよ、食わせたら許さねえからな。わかったか」


食べ終わると零ちゃんはわたしの膝にゴロンと横になった。

上着を肩に掛けてあげるとそのまま目を閉じた。

零ちゃんの冷たくてキレイな顔を見る。

零ちゃんは幼い頃にみんなからイジメられていたわたしを助けてくれた。

先生も気づかなかったイジメに零ちゃんだけが気づいて助けてくれた。


「ふみ、五時限目サボるから、後で起こせよ」

「え、でもわたし、授業が」

「そんなのサボれ」


零ちゃんの言葉は絶対。

膝の上で静かな寝息をたて始めた零ちゃんの柔らかな髪に触れた。

うまく言葉が出せなくてつっかえてしゃべるわたしをクラスのみんなはグズだ、目障りだ、消えろってつついたり花瓶の水を掛けたり…

そんなわたしを、「こいつに手を出したらぶん殴る!」って庇ってくれて、イジメた男子を殴り飛ばしてくれた。


「こいつをイジメていいのはオレだけだからな」


あれからわたしは誰にもイジメられなくなった。

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