BITTER LOVE




今日も先輩は教室にやって来て、相変わらず女の子達の視線をさらっていく




「今日もメロンパン?」




いつも通り楽しそう




「今日はお弁当です…」




「まじ?手作り?」




「お父さんの…」




「杏ちゃんのお父さんほんと優しいな〜」




昨日の空き教室で先生が作ってくれたお弁当を開く




「うわー…」




「うまそー!」




ほんとに美味しそう…




やっぱり先生って器用なんだ




「美味しい…」




夜ご飯と同じ薄味




美味しすぎて泣きそう




「そんな美味い?」




「美味いです…」




「杏ちゃんってファザコン?」




先輩が笑いながらそう聞いてくる




「な…違いますよ!」




「うるうるしてて可愛い」




うるうるなんて…




「それ一口ちょーだい?」




私が箸で持ち上げた卵焼きを指してそう言う




「どうぞ」




「食べさせてー」




え…




「自分で食べてください…」




「杏ちゃんの持ってるやつが食べたーい
お願い?」




断り切れず卵焼きを先輩の口に運ぶ…




「うんめー!」




「それはよかったですね」




「間接ちゅーゲット」




「な…」




「今度は口移し?」




「何言ってるんですか」




先輩の顔を睨んでも全く効果は無くて意地悪な顔して笑ってる



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