BITTER LOVE




みんなの所に合流しても体を思うように動かせない




そんなとき奈緒の声が聞こえてきて




「危ない!!!」




目の前から勢いよくボールが飛んでくるのが見えた




目線と同じ高さにボールが来ても体が動かなくて…反射的に目を閉じる




ボンッ




ボールが何かに当たる音…




でもどこも痛くない




ゆっくり目を開くと




「痛…」




聞き慣れた声が降ってきた




「え…」




「大丈夫ですか!?」




審判をしていた体育の先生が慌ててこっちに駆け寄ってきた




「頭に当たりそうだったので
試合止めてしまってすいません」




目の前に井岡先生が居て…




「いえいえ…
君、怪我してない?」




体育の先生がそう聞いてくる




「大丈…



「膝を怪我していて上手く動けていないみたいなので、保健室に連れていっていいですか?」




私の声を遮るように先生がそう言う




さっき転んだ時に擦りむいたのか、大量の血が出てる私の膝を見て体育の先生はすぐに了承




「来い」




先生の後をついてコートから出る…




「杏…いつ怪我したの?大丈夫?」




心配そうに奈緒が聞いてくる




「さっき転んじゃって…大丈夫だから心配しないで…試合最後まででれなくてごめんね」




「そんなの全然いいよー…杏の分まで頑張って勝つからね」




「うん…」




体育館を出ると体の力が一気に抜けていく




足に力が入らなくなってその場にへたりこんでしまった…




「おい」




そんな声と共に少し先を歩いていた先生がこっちに戻ってくる




「先生…」




立ち上がろうとすると、体がふわりと浮いて先生に足から抱えあげられていた



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