BITTER LOVE
ガラガラ
そんな音がして先生の手が素早く頭から離れた
「杏ちゃん!」
ドアを開けたのは息を切らした城ノ内先輩で、心配そうに駆け寄ってくる
「怪我したって…大丈夫?」
「大丈夫です…ちょっと転んじゃって…」
「彼氏が人気者だとたいへんだな
いちいち僻まれて」
先生はぼそっとそう言い残すと保健室を出ていった
彼氏…?
僻まれて…?
言葉の意味が全然分からない…
「もしかして…また俺のせい?」
「え、先輩のせいじゃないですよ?
私がどんくさくて一年生の子達イライラ…」
ギュッ
「え…」
突然先輩に抱きしめられた
「ごめん」
「だから先輩のせいじゃ…」
「杏ちゃんほんと鈍感すぎ」
え…?
「ちゃんと守るから…」
抱きしめる力がどんどん強くなって
「痛い…です…」
一気に解放される
「ごめん…」
目が合うと困ったように笑って
「もっかい抱きしめてい?」
私の返事を待つこともなくまたすぐ抱きしめられる
「離してください…」
「もうちょっとだけ」
「先輩…」
「十本決めたご褒美」
そういえばほんとに十本決めたんだっけ
「じゃああと10秒だけ…」
「短ー…」
「短くないです…」
「ねぇ杏ちゃん」
「…?」
「ほんとに付き合おうか」