BITTER LOVE



「落ち着いた?」




「はい…すいませんでした…」




私が泣き止むと先輩は笑顔でまた頭を撫でてくれた




「授業行けそ?無理なら一緒にサボってもいいけど」




「大丈夫です…」




「そっか、じゃあまた帰りね?」




「はい…」




先輩はそれ以上先生のことを聞いてくることもなくいつも通り接してくれた




帰りも教室まで迎えに来てくれて




「杏ちゃん帰ろ〜」




お昼のこと全部忘れちゃったみたいに先生の話は一切出てこない




「じゃあまた明日ね〜」




家の近くでそう言って逆方向へ歩いていく




「先輩…」




「ん?」




先輩のシャツを掴んで呼び止めた




「もう少しだけ…」




家に帰って先生と過ごす時間を少しでも減らしたくてそう言ってしまった…




「え、珍し…」




先輩が驚いたようにこっちを見てて




「あ…えっと…」




理由も言えず言葉に詰まっていると




「じゃあどっか行く?」




「はい…」



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