BITTER LOVE
いざ来てみたはいいけど、みんなテンション高くて完全についていけない…
先輩も女の子達に無理矢理連れていかれて前で歌わされてるし
「なんか飲む?」
イカつい男の人がそう聞いてきた
「はい…」
「ほらこれ飲んでテンションあげな」
その人からピンク色の飲み物を渡されて飲んでみると
甘くて不思議な味がして
「美味しい…」
「だろー?どんどん飲みなー!」
「おい大丈夫かよ…廉怒るんじゃねーの?」
「軽いのだし大丈夫だろ」
なんか頭がクラクラしてきた…
ふわふわ体が浮いてるみたいな気分…
気持ちいー…
胸の奥のもやもやも忘れられそうな感じ…
ヴーヴー
膝の上に置いていた鞄が小刻みに揺れてる
んー…
携帯…
画面を開くと知らない番号が光ってて
「もしもーし…」
「どこ?」
「へー…?」
「家入れないんだけど」
今一番聞きたくない声…
「ばーかー…」
「お前…」
「ばーかばーか…」
「とりあえずどこに居るか言え」
「カラオケー…」
「どこの」
「わかんらいー…」
「は?とりあえず外出て近くの建物でもなんでもいいから」
もうろうとする意識の中その言葉に従って外に出る
「何見える?」
「うーーん…コンビニとお…パン屋さーんと…車屋さんとお…
ツーー…
「あれ…切れちゃったー…」
携帯の画面が真っ暗になっていて充電マークが出てる
それから数分ふらふらしながら道も分からず歩いていると
ガシッ
突然誰かに腕を捕まれた
「お前ほんとに何してんだ…」
「あーー…先生らー…」
ぼんやりと先生が見えて思わず抱きついた
夢なら覚めないで…
もう現実になんて戻れなくてもいいから