BITTER LOVE




次の朝身支度を終えて玄関を開けると…




「久しぶり」




一瞬で青ざめるくらい見たくなかった顔が




玄関先に立っていた…




「なんで……」




「お前こそ、何度もメールしただろ?
なんで返事しないんだよっ!!!!!」




そう言うのとほぼ同じタイミングで拳が飛んできた




前みたいに見えない所だけじゃない




数え切れないほど顔も体も殴られて蹴られた…




「こんなんで済むと思うなよ。お前も城ノ内廉も」




ボロボロの体で兄の声がかろうじて聞こえてくる…




「母さんが入院したよ」




え……




「何度も自殺未遂をしてね
父から多額の金を貰ってるくせにお前は逃げて…逃げて…逃げて…っ」




そう言いながらまた何度も足で私を踏みつける…




「父からは軽蔑の眼差しで見られるし、家族はぐちゃぐちゃ
全部お前のせい!!!!!
絶対許さない…もし逃げたりしたらお前の母親がどうなるか覚えてろよ
逃げ場なんてどこにもないんだよ!!!!」




狂気じみたその言葉が、私の体だけじゃなく心もボロボロに壊していった…




逃げられない




やっぱり私は幸せになっちゃ駄目なのかな…



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