クローバー
てありがとう。もう離さない。ずっとパパがいるからね。守って、いっぱいの愛をあげる。)


朝。

「ん…。」

茉莉は目覚める。
横には遥紀が眠っていて、キュッと茉莉を抱いている。
思い当たらない茉莉。

「何で…ラジオのサンタさんがいるの…?」

呆然と遥紀を見ている茉莉。
遥紀は目覚める。
まじまじと遥紀を見ている茉莉に、

「おはよう茉莉、パパだよ。」
「え…パパ?」

驚く茉莉。

「逢いたかった、愛しい茉莉。愛しい我が娘…。」
「パパって…?」

遥紀は、茉莉のしているクローバーの指輪にキスして、

「この指輪、パパが12年前にママに贈ったもの。パパとママが愛し合っているしるし。」
「え…?」
「茉莉、気付かせてくれてありがとう。これを見て、気付いた。パパとママの間に、娘、茉莉がいること。今まで知らなかった、ママがパパの子供を身ごもって、産まれて、育っていたこと。茉莉は、パパの宝物だよ。
「…。」

茉衣は、

「茉莉、びっくりしたでしょう?…茉莉のパパはその人なの…。ママは、パパと高校生の時に出会って、恋に堕ちて、茉莉を身ごもった。間違いなくあなたのお父さん。」
「…お父…さん。…パパ…パパ!」

遥紀は茉莉を優しく抱き寄せる。茉莉は安心する。

「パパ…パパなの?」
「パパだよ。もう離さない。離れたくない。これからはパパとママと茉莉で暮らすんだ。」
「…。」

茉莉は泣いている。
遥紀は茉莉の髪を撫でる。


茉莉と遥紀と茉衣は、一緒に食事をしている。

「パパの名前は、三田遥紀。」
「パパ、もう離れて行かないで?」
「大丈夫。」


茉莉は学校に行く。
遥紀と茉衣は何度もキスを交わす。

「荷物は随時、ここへ持ってくる。家族は捨てる。3人で逃げよう。力を失うまで側にいる。誓う。オレが守って、信じるのは茉衣と茉莉しかいない。」
「はい…。」

茉衣は頷く。

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