クローバー
。」


収録が終わり、電話を受け取る。

「もしもし、初めてじゃないよな。」
「…。」
「やっとわかった。何故私を選んだか。」
「…。」
「さぁちゃんは知ってるの?」
「沙衣は知ってますよ。」
「やはり君は…。」
「お義父さんらに知れたら大変になる。」
「写真の息子はいっくん?」
「郁です。あの写真は沙衣が撮ったもの。知ってて付き合ってますよ。」
「…え?」
「お義兄さんは知ってますか?私が上半身裸の女性を抱いて、胸を隠している写真。」
「…知ってるけど…衝撃を受けた。少し官能的な…。」
「あの女性は沙衣です。」
「…え?」
「あの後に初めて結ばれました。」
「…。」
「お義姉さんには言わないで下さい。その話は誰にも言ってない。大学の帰りに、いつも一人ぼっちで帰っていた沙衣。雨の日に傘に入れて?と声を毎回掛けて、気を引いていました、当時は沙衣、出ていったお義姉さんがいなくて淋しい時期で、友達からも避けられてたみたいで。彼女いわく、友達も巻き込まれたくなく、避けさしていたらしい。高校の休みの時に会ってたみたいで。友達も巻き添いで虐げられるのだけは嫌だったみたい。」
「…オレのせいだな。」
「…。」
「…さぁちゃんも共犯か。」
「私は好きだったけれど、カラダの関係はなく、不意に奪ったキスくらいの関係だった。短大生になった沙衣を誘って、撮りに出かけた。沙衣はじ〜っと見てただけ。すると、沙衣も誘われた。いきなりあのセミヌード。恥ずかしがってました。沙衣は上半身裸になって、ガウンで隠して来ました。戸惑っていた。カオは化粧で化かしていたけど。私は、沙衣のガウンを剥がして、胸を隠しました。緊張していたのは私も一緒。何一つ汚れのない沙衣のカラダは美しく、魅了された。心臓の音を聞かれて、…緊張してるの?と言われた。うん、美しいキミに緊張してる。ナンパした女だ。…。耳に息を吹き掛けてみると、沙衣は、あっ!?っと感じた。撮影が終わり、…どうしよう。パパに知れたら勘当される…。不安で泣き出した。」

「信じて?甘い言葉を掛けた。見つめ合う。キスを交わし、舌をつついてみる。男を知らない沙衣は甘い息をあげる。そのままホテルに行きました。」


(遥紀にも内緒の話)

「こんな所初めて…どうしよう。」

沙衣は言う。

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