クローバー
茉衣は寝室へ。
遥紀は泣いている。

「遥紀…。」
「父親失格…だよな。…茉莉の事…少しも知らない…セックスだけはして…茉衣が妊娠したことや、茉莉を産んだこと…茉莉の成長を何一つ知らない…。」

茉衣は遥紀を抱き寄せ、

「茉莉は、遥紀に知ってもらうために産まれてきた。茉莉は…。」

写真を出す。

茉莉の生後3日の写真。眠っている。

「激しい陣痛。気絶してしまったわ。…気付いたら。病院にいた。あまりにもの痛さに電話でママに助けを訴えて、ママが救急車を呼んだみたい。赤ちゃん!?叫ぶ私にママは、無事に女の子が産まれたわ。と言ったの。…良かった。安心したわ。この世で一番愛しい娘。これが茉莉の最初の写真。初節句。パパが小さなまめ雛を買ってくれた。父親の知らない娘なのに。妹が私と茉莉を撮ってくれた。眠ってたり、おめめをぱっちり開いてたり、写真はたくさん撮ったわ。いくらお金をかけて、私が節約しても、何一つ苦にはならなかった。」
「茉衣…。」

保育園のお遊戯の写真、運動会の写真、誕生会の写真、幼稚園の入園式の写真、水着を着た写真、小学館の入学式の写真。成長してる。

「オレは、この写真の何一つ知らない…。」

茉衣は遥紀を抱いて、

「遥紀は茉莉のただ一人のパパよ。今まで茉莉には、パパはいないけど、パパだけは大切に思ってあげて。パパは、ママにとってかけがえのない人なの。と教えて来たわ。」
「茉衣…オレは罪を犯した。茉莉を…捨ててしまった。」
「遥紀、愛してる。そんな事言わないで?」

甘いキス。
遥紀の欲情を誘発するような、情熱的なキス。

「抱いて?」

甘く見つめる茉衣。
遥紀の理性は切れる。


「んっ…ああっ!!」

茉衣は悶える。
遥紀は快感。

「遥紀…離れて行かないで。」
「ずっと側にいる。」


何度も情熱的に抱き合う茉衣と遥紀。毎日のように続く関係。
茉莉は、すぐに遥紀に謝った。

「パパ…ごめんなさい。」

遥紀は、

「いいよ。茉莉は大事な、大事な娘だ。」

優しく抱き寄せる。
茉莉は父親の温もり安心する。


遥紀は、茉衣と茉莉と一緒に買い物に行ったりする。周りからみたら仲のいい親子である。幸せそうで、ほほえましい光景だ。
< 13 / 197 >

この作品をシェア

pagetop