クローバー

う。
５人の子供達は、

「また来てね！」

と言う。


遥紀たちは帰る。長女は言う。

「ママ、お姉ちゃんのママ、ママのなぁに？」
「ママとパパの教え子よ。パパとママが出会った高校の生徒だった。」
「あれ？だったら何で私よりお姉さんがいるの？」
「りほ疑ってるの？お姉さんが本当の子供じゃないとか？」
「…うん。お姉さんは間違いなくあの二人の子供よ。そっくりじゃない。ただ、複雑だったのは事実。弟くんができる少し前までは父親を知らない子供だったわ。」

政治は、

「多恵子！」

言うと多恵子は、

「政治さん、４人と遊んでて、私はりほと話すわ。このまま話さないのも酷だわ。」
「…わかった。」

多恵子は長女を膝に乗せて、抱き合わせ、

「りほには話すわ。彼は１１年も、自分の子供がこの世に生まれているなんて知らなかった。彼らは親に別れさせられたの。その後に彼女は、お腹に命を宿していることに気付いたの。」
「…え。」
「彼の事を考えて、断ち切ったキモチ。彼女は一人で産んで育てていくことを決意したの。」
「…何で？」
「好きな人が残した命。溺愛した。生き甲斐だった。娘が１０才になった頃、二人は再会した。彼女は逃げようとしても、彼は彼女を呼び止めた。しかし、子供といて、結婚したと思ってた。でも、実の子供である証拠を見つけたらりほはどうする？」
「…。」
「りほは女の子だからないけど、見つけた時は彼女のいない所で、目の前に初めて知った実の娘だけがいたとしたら？」
「…わからないけど抱くかな。」
「そうね、彼は抱いたでしょう。こうして私がりほを抱くように。」

抱く。

「ママ…。」
「彼は泣いたでしょう。１０才にまで成長した娘。全てを知る彼女に問い詰める為に捜したんじゃないかな。彼女は彼の為に言わなかった。激しく問い詰めても。諦めて帰った。娘へのプレゼントを置いて。彼の人生は知ったその日から変わった。頭を抱えて悩んだ。辿り着いたのは、彼女と娘を幸せにすること。彼の仕事柄、彼女を呼び出すのは容易。二人きりになった夜中の公園、彼は優しく真実を求めた。彼女は言った。愛しい娘に会いたい。すぐに子供の眠っている家に行ったみたい。」
「それで会ったの？」
「りほ、親のキモチはね、眠っている子供を見たら涙