クローバー
らお義兄さんと言ってしまう。」

うっすら遥紀の目に涙。そこへ、

「こんばんは、」

真治と沙衣ら。

「あ、お義兄さん達もう来てる。」

郁は茉莉を探す。見つけるなり抱き着く。

「郁、こんばんは。」
「こんばんは。今日ね、ママと倫ちゃんとお買い物行ったの。倫ちゃんのお洋服買ったんだよ。僕も買ってもらったんだよ。」
「倫ちゃんの洋服、郁が選んだの?」
「うん☆かわいいワンピースだよ。」
「かわいい?私も見たいな。」
「見たいの?また着るね。あれ?ハルカは?」
「おじいさんといるよ。ほら。」

抱かれているハルカ。

「本当だ。ハルカ、おいで。」

ハルカはてくてく歩いてくる。

「ハルカ、エライね。」

なでなで。にこにこ。
抱く。
ごろん。
見つめ合って、優しくつつく。

「きゃっ☆」

父は茉菜を抱く。手をぱたぱた。

「茉衣と同じ目をしてるな。」

茉衣は、

「そうかなぁ?遥紀の目だと思うんだけど…。」
「あんな男知らない。」
「パパ、そろそろ許してあげて。」
「さあね。」
「…そんな。」

倫を抱いた沙衣は、

「夫婦似て来たのじゃない?一緒に生活してると似てきてもおかしくないじゃん。」
「沙衣、似るなんて言うな。」
「パパ、少しは折れたら?ほら、聖華ちゃんも呆れてる。」
「…実の娘をかわいくない親はいない。」
「許すのも親だよ。」
「…わかってる。ただ、父親の些細な抵抗だけはさせてくれ。」
「…パパ。」


「みいつけた、」

真治は遥紀と礼衣が話しているのを見つける。

「男同士でお話ですね。」

礼衣は、

「そんな顔しないで下さい、お義兄さん。…カオがきれいすぎておかしくなりそう。」
「どこが?普通ですよ。」
「…眩しい。」
「二人の子供の父親だよ。」
「姉さんも心配じゃないのか?」
「大丈夫だよ。沙衣しかいない。ナンパしたのも、この人しかいないと思ってしてるよ。じゃないとあんなに何回もナンパなんてしないよ。」
「ナンパ慣れしてそうというか、しなくてもたくさん寄ってくるか。」
「…そんなにモテてないよ。」
「姉さんで何人目?」
「…沙衣が初めてだって。初めては決めた人にしかあげない。それだけは考え
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